【調理編】
いよいよ料理にトライ
下処理が済んでしまえばあとは簡単。片桐さんにタコの旨煮とパプリカの炒め物の作り方を教えていただいた。
「まずは旨煮から作りましょう」と言うが早いか、片桐さんは慣れた手つきで太いタコの腕に迷いなくすっと包丁を入れ、あっという間にタコを切っていく。タコは味が淡白なだけに、切り方が食感を左右する大事なポイントだ。片桐さんに切り方とそれに合った調理法を聞いてみた。
“今回は炒め物と煮物なので、そぎ切りにします。こうすると切り口の表面積が大きくなって、タコの存在感が出るでしょう。また、タコの身は筋肉です。筋肉繊維に斜めに包丁を入れて切ることで、繊維が断ち切られ、柔らかく食べられます。逆に歯ごたえを楽しみたいときはぶつ切りにしましょう。キュウリと一緒に酢の物にしたり、たこ焼きに入れるときはぶつ切りのほうがいいですね。”
そしてもうひとつ料理をする上でポイントになるのは、火加減。火を通しすぎると身が固くなってしまう。旨煮も炒め物も、さっと火を通すのがポイントのようだ。旨煮を調理する間、片桐さんはタコとじっくり会話するかのように慎重に火加減を見極める。それとは対照的に炒めものをするときは、ためらいなく強火で、かつほんの一瞬ダイナミックに炎の力を借りて、手際よく料理を仕上げていった。
調理の後、さっそく二品をいただいてみた。まずは旨煮から。タコをひと口含むと、まずプリプリしたその食感に驚かされた。これまで筆者が食べたことがあるのは、魚屋であらかじめボイルされて時間が経ったタコ。たったいま下処理したタコをじっくり弱火で煮含めたものとでは、何といっても食感が違う。固すぎず柔らかすぎない絶妙の歯ごたえ。そしてしっとりとしたタコの身にはたっぷり煮汁が絡まっていて美味しい。
一方、タコの炒めものもガーリックの風味がふんわりと漂い、先ほどから食欲をそそられる。一口いただくとタコのコリコリした食感とパプリカのシャキシャキした歯ごたえ、バジルの香りが重層的に口の中に広がって、何とも美味だ。
“タコの身が硬すぎると、他の食材とあわせた時に味も食感も喧嘩しやすい。その点「泉だこ」は柔らかいので、調理しても旨味を感じさせやすいですね。だから「泉だこ」は煮物や炒めものにもってこいでなんですよ。”
タコの美味しさは片桐さんの言うように、固すぎない絶妙の食感。すでに下処理して売られているタコは確かに手間がかからず便利だが、筆者が口にした食感は、活きの良い新鮮なタコをさばいてすぐに料理したからこそ味わえた贅沢なもの。タコの下処理はぬめりさえとってしまえば、比較的調理しやすく簡単にできる。ちなみに、生のタコは田尻漁港の「日曜青空朝市」や泉佐野漁港で開かれている「青空市場」などで購入できるので、是非とも気軽に試していただきたい。
［タコの旨煮の作り方］
（材料 4人分）
タコ（足の部分）… 300g
だし汁……………… 600cc
酒、醤油……………各大さじ3
みりん………………大さじ2
（作り方）
①鍋にタコが浸る程度のだし汁、酒、醤油、みりんを入れて煮立たせる。
②煮立ったらタコをそっと入れる。
③20〜30分ほど落し蓋をして弱火で茹でる。
※タコが常にだし汁に浸っているように、だし汁が減ってきたら途中でだし汁を追加する。
④ 火を止めて30分ほど冷ましながらタコに煮汁を吸わせる。
※一晩煮汁を吸わせるとさらに味がしみて、美味しく仕上がる。
⑤タコを取り出してそぎ切りにする。
※茹でたタコはずるりと皮が剥けやすい。切り分ける際は皮が剥けてしまわないように要注意。
⑥皿に盛り付け、煮詰めた煮汁をまわしかける。
［タコの炒めものの作り方］
（材料 4人分）
タコ…………………………200g
パプリカ（赤色と黄色）…3/4ずつ
ガーリック…………………1片
オリーブオイル……………適量
塩コショウ…………………適量
乾燥バジル…………………適量
イタリアンパセリ…………飾り用に、お好みで
（作り方）
①タコをそぎ切りにする。
※切り口の面積が大きくなり、ボリュームが出るのでそぎ切りがオススメ。
②パプリカは細切りに、ニンニクはスライスする。
③フライパンを熱し、オリーブオイルでガーリックをじっくり炒めて香りを出す。
④③にパプリカを投入し、炒める。
⑤パプリカが少ししんなりしたらタコを入れ、強火でさっと炒めて塩コショウで味付けする。
⑥全体に味がなじんだら、乾燥バジルをかけてさっと炒め、皿に盛りつける。
⑦最後にイタリアンパセリをお好みで散らす。
田尻漁協日曜朝市
泉南郡田尻町りんくうポート北１番
最寄り駅：南海本線 吉見ノ里駅より徒歩約10分
［営業時間］毎週日曜日7:00〜12:00
TEL :072-465-0071
泉佐野漁協青空市場
大阪府泉佐野市２丁目5187番101
最寄り駅：南海本線 泉佐野駅より徒歩約15分
［営業時間］10:00〜18:00 ［定休日］水曜日
TEL :072-469-2340
http://www.aozora-ichiba.com/
〈取材協力〉
佳酒佳菜 花はな
大阪府大阪市北区曽根崎新地1-6-13 ニューセントラルビル2Ｆ
最寄り駅：JR東西線 北新地駅より徒歩約5～10分
［営業時間］月～金 17:00〜24:00 土 17:00〜22:00
［定休日］日曜日・祝日
TEL :06-6345-8700
http://www.izakaya-hanahana.jp/